
アレクサンダー・ロンチェビッチ|最後の逆転と、時計をつけない世界王者の戦略
最後のウォールボールに先に入ったのは、ライバルのマイケル・サンドバックでした。2024年、ニースの世界選手権。追うアレクサンダー・ロンチェビッチは、最後の種目で順位をひっくり返し、世界王者になりました。走っている間に回復し、ワークアウトで勝負する。優勝後に明かした作戦が、レース映像とぴたりと重なります。
競泳選手から小学校教員、そしてHYROXのプロへ。ウィーン出身のロンチェビッチは、2026年には51分59秒を記録し、ダブルスでも世界の頂点に立ちました。数字の速さだけでなく、どこで相手に勝負をかけるのか。その判断を知ると、彼のレースはもっと面白くなります。
アレクサンダー・ロンチェビッチのプロフィール
名前:Alexander Rončević(公式動画ではAlexander Roncevic表記)
出身:オーストリア・ウィーン
生年月日:1992年8月6日
競技歴:競泳からHYROXへ転向
職歴:小学校教員
主な実績:2024年HYROX世界選手権男子Elite 15優勝、2026年世界選手権男子Elite 15ダブルス優勝
2018年、友人から届いた大会リンクがきっかけ
2025年公開のRed Bull公式インタビューによると、HYROXとの出会いは2018年。友人がFacebookで送ったウィーン大会のリンクを見て申し込み、初戦からPro部門に出場して4位に入りました。その半年後には世界選手権で準優勝しています。
競泳で培った高強度の練習習慣や競技への規律が、HYROXでも土台になったと本人は語っています。ランニングとジムでのトレーニングが好きだったことも、新しい競技へ踏み出す背景にありました。
出典:Red Bull公式インタビュー(2025年6月公開)。
まず1分27秒で見る、2024年世界選手権の逆転優勝
HYROX公式の「A NEW HYROX WORLD CHAMP! Alexander Roncevic」は、ニースで行われた2024年世界選手権のスタートからフィニッシュまでをまとめた短いハイライトです。マイケル・サンドバック選手との接戦が、最後のウォールボールで動きます。
0:04〜|男子Elite 15がスタート:実況がスタートを伝え、続いてロンチェビッチ選手とサンドバック選手の近い位置での競り合いを紹介します。
0:46〜|サンドバック選手が先行:先にウォールボールへ入るのはサンドバック選手。追うロンチェビッチ選手へと実況の焦点が移ります。
1:00〜|最後の種目で首位が入れ替わる:実況がロンチェビッチ選手のリードを伝えます。ウォールボールを続ける2人と、終盤の回数カウントが見どころです。
1:14〜|100回を終えてフィニッシュへ:実況のカウントに続いてフィニッシュ。1:20付近の画面には56分21秒のタイムが表示され、世界王者を称える声が響きます。
公開元:HYROX公式YouTube|公開日:2024年6月21日|長さ:1分27秒。上記の時間は動画の再生位置です。
27分の公式動画で分かる、勝負の流れ
接戦がどう生まれたのかを追うなら、「A NEW WORLD CHAMPION!|HYROX ELITE 15 Men's Highlights」へ。27分17秒の公式動画には、レースの展開だけでなく、優勝後のロンチェビッチ選手へのインタビューも収録されています。
▶ YouTubeで2024年世界選手権の男子ハイライトを見る
18:00〜|先に最後の種目へ入ったのはサンドバック選手
サンドバック選手がウォールボールへ先着し、ロンチェビッチ選手が追う展開です。フィニッシュ直前まで先頭を走り続けたレースではなく、最後の種目で順位が変わる勝負だったことが分かります。
20:00〜|休止とノーレップで、接戦が続く
実況は2人の回数差が縮まっていく様子、サンドバック選手の休止、両選手のノーレップを伝えています。ノーレップは、有効な反復として数えられない動作のこと。単純にボールを投げる速さだけでは勝負が決まらず、有効な回数を積み上げる必要がある場面です。
21分台にはロンチェビッチ選手が先行。それでも実況は最後まで有効な動作を続けるよう強調し、22分台の100回目からフィニッシュへつながります。先頭が入れ替わったあとも続く緊張感に注目してください。
優勝後の本人の言葉|ランで回復し、種目で勝負する
25分台からのインタビューでは、ロンチェビッチ選手が優勝の喜び、教員の仕事と競技の両立、レースで考えていた作戦を語ります。
26:00〜|落ち着く場所と、攻める場所を決めていた
本人が説明したゲームプランは、ランニングでは落ち着いて回復し、ワークアウトで勝負すること。サンドバック選手がウォールボールで苦戦する可能性を見込み、最後に自分のチャンスをつかむつもりだったと話しています。
最後の種目での逆転は、本人の説明と合わせて見るとさらに面白くなります。レース動画で順位が変わる場面を見たあと、26分台のインタビューを聞くと、どこで勝負をかけようとしていたのかがつながります。
25:00〜|教員の仕事も続けたいと語った
仕事と競技の両立について問われると、ほかの選手にも仕事や家族などそれぞれの生活があると答えています。趣味として始めたHYROXがよりプロフェッショナルになってきた一方、この2024年のインタビューでは、教える仕事もあと数年続けたいと話しました。
時計をつけずに走る、2026年の勝負観
2026年6月のRed Bullのインタビューでは、レース中は時計をつけないと話しています。得意なSkiErgやスレッドプッシュで先行し、追いつかれたら回復して、次の種目でまた仕掛ける。タイムだけを追うより、その日の感覚と相手との位置関係で判断する考え方です。
同じ種目を同じ順序で行う競技でも、選手によって攻める場所は違います。ロンチェビッチの場合は、得意なワークアウトが勝負の起点になる。2024年の優勝後に語った作戦と合わせると、その特徴を追いやすくなります。
昨日のライバルが、翌日のパートナーになる
ティム・ヴェニッシュは友人であり、個人戦では競争相手、ダブルスではパートナーです。同じインタビューでロンチェビッチは、相手が良いレースをした日は祝福すると説明しています。勝負の結果を、個人的な対立に持ち込まない姿勢です。
本人の見立てではティムの強みはランニング、自分はエルゴやスレッドに優位がある。その違いを知る二人が、個人では競い、ペアでは組む。ダブルスの結果を見るときにも、単に速い選手同士という以上の関係が見えてきます。
2024年の世界王者から、2026年の記録更新へ
Red Bull公式選手プロフィールは、ニースでの優勝後の歩みも紹介しています。
2024年・ニース:HYROX世界選手権で優勝。
2025年・シカゴ:世界選手権シングルスは8位。
2025–26シーズン・ハンブルクMajor:53分15秒の当時の世界記録を樹立。
2026年・ワルシャワMajor:51分59秒でシングルス世界記録を更新し、52分を切った初の選手に。
2026年・ストックホルム:世界選手権シングルスは6位。ティム・ヴェニッシュ選手との男子Elite 15ダブルスは48分58秒で優勝。
シングルスとダブルスでは競技形式が異なります。記録を見るときは、年・大会・部門を一緒に読むと、ロンチェビッチ選手の歩みを追いやすくなります。出典:Red Bull公式選手プロフィール(2026年9月17日閲覧)。
選手のレースから、HYROXをもっと知る
最初は1分27秒の動画で勝負の結末を見て、次に27分の動画のウォールボールと本人インタビューへ。競技を知りたい方は、HYROXの仕組みと8種目の解説、種目の動きを見たい方は公式動画のタイムスタンプ付き8種目ガイドもご覧ください。
出典・紹介した動画
HYROX公式:A NEW HYROX WORLD CHAMP! Alexander Roncevic(2024年6月21日公開)
HYROX公式:A NEW WORLD CHAMPION!|HYROX ELITE 15 Men's Highlights(2024年6月8日公開)
Red Bull公式:Stronger together|Alexander Rončevićインタビュー(2025年6月公開)
大阪でHYROXの器具を使ってみたい方は、マッスルゲートのビジター利用方法へ。登録から入館までの流れと、練習場所を選ぶための情報を紹介しています。
文:ROX NOTE編集部
